曖昧な僕ら
国語の時間は、ヒマだ。
こんな事しなくたって、テストでいい点とれるのに、と思うし、まず、先生が嫌いだ。
ひたすらつまんない。
目的もないまま、ぐるっと教室を見渡してみる。
ガリガリノートとってる人。
友達に手紙書いてる人。
おしゃべりしてる人。
寝てる人。
だいたい、うちのクラスはみんな国語嫌いだからまじめに受ける人は少ない。
でもそんな中、誰とも違う事をしてる人がいた。
山城くんだ。
この人はにぎやかで、カッコ良くて、クラスの中心的な存在で、少し、苦手だった。
そんな人が誰とも話をしたりせず、私のように、ただただみんなを観察している。
と、
目があう。
その瞬間、私の鼓動が驚くべきスピードで鳴った。
視線は交わったまま、そらせない。
ドクドクドクドクドクドクドク
山城くんはきょとん、としていった。
「なに?」
もちろん口パクだったけれど。私も口パクで答える。
「あの、人間観察。」
ドクドクドクドクドクドクドク
「俺も一緒。気があうね。」
少し赤くなって、山城君は笑った。私も、つられて笑った。
その笑顔が、しばらく頭から離れなかった。
今でも不思議なんだけど、
あれだけで、私達は始まった。
FIN